知っておきたいFilmoraの高度なカラーグレーディング機能
優れた映像を作る条件は何でしょうか。高性能なカメラや理想的な天候だけでしょうか。
もちろん、それらも重要です。しかし、作品の印象を大きく変える「魔法」の多くは編集段階で生まれます。きれいな仕上がりにするには、使いやすい動画編集ソフトと、いくつかの編集テクニックが必要です。代表的なものには、ホワイトバランス調整、露出調整、カラーグレーディングがあります。たとえば写真や映像にビンテージ風のカラーグレーディングを加えると、完成度を保ちながらレトロな雰囲気を演出できます。
この記事では、使用するソフトに関係なく試す価値のある7種類のカラーグレーディングを紹介します。あわせて、カラーグレーディング制作に役立つ追加素材や参考リソースを探す際のヒントも確認できます。
カラーグレーディングの種類が動画に与える影響
カラーグレーディングの種類によって動画がどのように変わるかを見ていく前に、まずこの技術の内容を理解しておきましょう。カラーグレーディングとは、元の映像素材の色相やトーンを調整し、特定のルックや雰囲気を作り出す動画編集技術です。これはポストプロダクションの一部として行う作業で、専用の編集ソフトが必要になります。
よく使われる動画編集ソフトにはAdobe After Effects、Apple Final Cut Pro、そしてFilmoraなどがあり、それぞれ操作性や編集機能に違いがあります。いずれの場合も、カラーグレーディングは映像制作に欠かせない工程であり、印象に残る動画を作るための重要な要素になります。
1. カメラだけではジャンルは決まらない
カメラ機材が決めるのは、主に撮影できる映像の品質です。伝えたいメッセージを正確に届けるには、そこからさらに編集で整える必要があります。たとえば砂漠で撮影した映像は、ホラー映画の背景にも、ロマンチックコメディの舞台にもなり得ます。しかし元の映像のままでは、視聴者がその違いを感じ取りにくい場合があります。
そこでカラーグレーディングのような技術を使うことで、表現したいジャンルへ視聴者の印象を導くことができます。具体的な例は、この後の各項目で詳しく紹介します。
2. 自分らしい作風を作れる
カラーグレーディングを行うもう一つの理由は、純粋に表現上の目的です。映像制作者であれば、クレジットを見なくても「この人の作品だ」と視聴者に感じてもらいたいと思うことがあります。編集の方向性に一貫性を持たせれば、カラーグレーディングはその作風づくりに役立ちます。
たとえばイギリスの映画監督Christopher Nolanは、デジタル映像よりもフィルムを重視することで知られ、色をより自然で生々しい形で表現しています。映画『The Dark Knight』では、黒やグレーの階調を使い分けることで影を強調している点がわかります。
このようにカラーグレーディングには明確な役割があります。ここからは、さまざまなカラーグレーディングが動画にどのような影響を与えるのかを見ていきましょう。
• 動画の時代設定を伝えやすくなる
特定の時代を連想させる配色があることをご存じでしょうか。誤った情報に振り回されないよう、まずは概要を簡単に整理します。
かつて多くの写真や映像は、フィルムと白熱灯を使って撮影されていました。そのため、その時代の映像には機材の選択肢が少なかったこともあり、似た色合いが見られます。一方で現代の撮影機器は技術面が大きく進歩しており、当時の雰囲気をそのまま再現するのは簡単ではありません。たとえば現在では、1930年代には考えられなかった50倍ズームに対応するスマートフォンもあります。
では、映像が過去の時代を描いていることを視聴者にどう伝えればよいのでしょうか。70年前のカメラを用意できない限り、カラーグレーディングが有効な方法になります。一般的に、古い西部劇やクラシック映画は暖色系の色と結び付けられることが多いです。そのため、暖色系のカラーグレーディングやビンテージ風のカラーグレーディングを使えば、近い雰囲気を作れます。たとえばハリウッド映画では、歴史的な時代を示すために全体を茶色がかったトーンに仕上げることがあります。
• 感情を引き出すための重要な手段になる
怒りを表す色は何色でしょうか。心理学では、色によって異なる感情を連想させることがあるとされています。ロマンチックコメディに暖色が多く使われ、シリアスな作品で寒色が強調されることが多いのもそのためです。
たとえばティール&オレンジのカラーグレーディングを使うと、動画に温かさや楽しさを感じさせることができます。この2色は補色関係にあるため、正しく使うと美しいコントラストが生まれ、感情の幅も表現しやすくなります。
• カラーグレーディングでジャンルを示せる
カラーグレーディングは、動画のジャンルを視聴者に伝えるためにも使えます。たとえばホラー映画では、赤系のカラーグレーディングによって不安感や恐怖を引き出すことがあります。ここで重視するのは芸術的な効果であり、編集次第で恐怖の強さをさまざまに調整できます。
一方、ドキュメンタリー向けのカラーグレーディングでは色の正確さが重視されます。そのため、被写体本来の自然な色を引き立てるグレーディングを行います。たとえば旅行Vlogを編集する場合、オレンジ&ティールのカラーグレーディングを使うことで、出演者の肌のトーンをより魅力的に見せることができます。
ここまで紹介した内容は、カラーグレーディングが動画に与える影響の一部です。次のセクションでは、その効果をさらに具体的に見ていきます。
試す価値のある7種類のカラーグレーディング
簡単に言えば、カラーグレーディングとは色を調整して狙った仕上がりを作ることです。ここでは、次の動画制作で試したい7種類のカラーグレーディングを紹介します。
1. 類似色のカラーグレーディング:調和と自然な雰囲気に
類似色のカラーグレーディングでは、色相環で隣り合う色を組み合わせます。たとえば赤やオレンジの濃淡を使うことで、動画に暖かいカラーグレーディングを加えられます。その結果、映像全体に調和のある印象を作ることができます。
類似色のカラーグレーディングは、風景動画や自然を扱う動画に特に向いています。このタイプのカラーグレーディングを使った例を見てみましょう。

この画像では、監督Ridley Scottがオレンジ&ティールのカラーグレーディングを使い、砂や岩山を際立たせています。さらに空の青みを抑えることで、異星のような雰囲気が生まれています。
2. ムーディーなカラーグレーディング
この手法では寒色を使い、謎めいた雰囲気や緊張感を作ります。影が多く、暗めの照明で撮影されたシーンに特に向いています。効果をはっきり見せるには、コントラストを調整するだけでも十分です。

3. ビンテージ風カラーグレーディング
ビンテージ風カラーグレーディングは、動画にレトロな見た目を加え、視聴者に懐かしさを感じさせます。映画制作者は、回想シーンや特定の歴史的時代を描く作品でこのタイプのカラーグレーディングをよく使います。主な方法は、コントラストを抑え、暖色を強調することです。以下はビンテージ風カラーグレーディングの例です。

4. ブリーチバイパス
ブリーチバイパスのカラーグレーディングでは、各色の彩度をあまり重視せず、映像の色のコントラストを強調します。その結果、色同士が滑らかに溶け合わず、混沌とした印象の映像になります。
映画『300』では、ブリーチバイパスの効果を確認できます。特に赤を中心に、色同士の強い対比が表現されています。以下は、ブリーチバイパスが動画に与える印象の例です。

5. クロスプロセス風カラーグレーディング
この手法では、動画内の色に対して意図的に反対方向の調整を加えます。その結果、極端な色の変化が生まれ、通常とは違う個性的なルックになります。

6. ハイキーで彩度の高いカラーグレーディング
ハイキーで彩度の高いカラーグレーディングでは、動画の配色に対して色相や彩度を調整します。特定の色だけが目立ちすぎないよう、コントラストの調整が必要になる場合もあります。その結果、明るく色鮮やかなシーンを作ることができます。以下は、この手法を使った例です。

7. トライアド配色のカラーグレーディング
トライアド配色のカラーグレーディングでは、色相環上で等間隔に配置された3色を使います。まず動画の主役となる色を選び、残りの2色でそれを補完します。これにより、視聴者の注意を動画内の特定の被写体へ向けやすくなります。トライアド配色の人気は以前ほど高くありませんが、独自のビンテージ感を出したい場合には今でも活用できます。
トライアド配色の例には、赤・黄・青、または紫・緑・オレンジなどがあります。以下は、トライアド配色を使ってビンテージ風のカラーグレーディングを行う例です。

カラーグレーディングの種類をすばやく比較
自分のプロジェクトに合うルックを選びやすくするために、ここまで紹介した7種類のカラーグレーディングを比較表にまとめました。
| スタイル | 主な特徴 | 向いている動画 | 代表的な雰囲気・感情 |
|---|---|---|---|
| 類似色 | 色相環で隣り合う色を使う(例:赤やオレンジ)。 | 風景動画、自然を扱う動画。 | 調和、穏やかさ、暖かさ。 |
| ムーディー | 寒色、高いコントラスト、深い影を使う。 | 暗めの照明のシーン、スリラー、ドラマチックな場面。 | 神秘性、興味、重厚感。 |
| ビンテージ | コントラストを抑え、暖色を強調する。 | 回想シーン、歴史映画、レトロな見た目の演出。 | 懐かしさ、暖かさ、時代を超えた雰囲気。 |
| ブリーチバイパス | 彩度を抑えつつ高コントラストにする。 | アクション映画、混沌とした場面、荒々しいシーン。 | 混沌、緊張感、鋭さ。 |
| クロスプロセス | 意図的に極端な色変化を加え、個性的なルックを作る。 | ミュージックビデオ、夢のシーン、アート性の高い作品。 | 超現実的、型破り、スタイリッシュ。 |
| ハイキー高彩度 | 色相と彩度を調整し、明るく色豊かなシーンにする。 | コメディ、広告、明るくエネルギッシュな動画。 | 楽しさ、活力、幸福感。 |
| トライアド | 色相環上で等間隔にある3色を使う。 | 個性的なビンテージ感を作る、または特定の被写体に注目を集める。 | 鮮やか、大胆、高コントラスト。 |
まとめ:
● ここまで見てきたように、カラーグレーディングを使うことで実現できる表現は数多くあります。感情を引き出したり、テーマを設定したり、映像クリエイターとしての独自の作風を作ったりすることができます。今回紹介したカラーグレーディングの種類は、幅広いクリエイティブ表現をカバーしており、自分の表現を磨くための土台になります。次の動画では、ぜひこれらのスタイルを試してみてください。