AdobeのAfter Effectsを用いた映像編集やモーショングラフィックス制作において、オブジェクトの動きをコントロールするために欠かせないのが「アンカーポイント」です。
アンカーポイントの位置が移動すると、オブジェクトの動きや仕上がりは大きく変わってきます。それぞれの位置関係や移動したときにどう影響を受けるかを常に考えておき、アンカーポイントを正しく理解して配置することが大切です。
この記事ではAfter Effectsでアンカーポイントを移動する方法と、After Effectsの代替となるソフトをご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
Part1.アンカーポイント移動とは
映像編集やグラフィックスを含めた動画作成を行うとき、アンカーポイントの考え方は非常に重要な意味を持ちます。アンカーポイントは、オブジェクトの回転や拡大・縮小をコントロールするための軸となるので、アンカーポイントがどこにあるのかを意識するだけで表現の幅は大きく広がるでしょう。
ここではアンカーポイントの基本的な考え方と、アンカーポイントが移動することの影響について解説します。
1-1.アンカーポイント移動の基本概念
アンカーポイントは「重心」という名前からも分かるように、オブジェクトの基準となる部分(軸)のことです。回転や拡大・縮小といったオブジェクトの変化はすべてアンカーポイントを中心に行われます。
After Effectsの場合、オブジェクトやレイヤーを新しく追加すると、必ず中央にアンカーポイントが配置されます。このアンカーポイントを移動させることで、オブジェクトの動き方や見せ方をイメージ通りにコントロールすることができるのです。
1-2.移動操作がアニメーションや回転・スケールに与える影響
アンカーポイントはオブジェクトにとっての軸となるため、移動させると当然オブジェクトの重心もずれます。
例えばキャラクターが横に揺れるアニメーションを作る場合、キャラの中心にアンカーポイントを配置すると、腰を軸にして揺れるような動きになります。これをキャラの足元にアンカーポイントを移動すると、身体全体を揺らすような動きに変化します。アンカーポイントを置いた場所にキャラの体が固定されたとイメージすると分かりやすいかもしれません。
このようにアンカーポイントを移動させることで、オブジェクトを回転させたり拡大・縮小させたりが自由自在にできるようになります。
逆にアンカーポイントを誤った位置へ移動すると予想外の動きになってしまう場合もあるため、「ここにアンカーポイントを置くとどういう動きになるか」を常にイメージするようにしましょう。
Filmora V14.9新機能「アンカーポイント」登場!今すぐ無料ダウンロード!
Part2.After Effectsでアンカーポイントを移動する手順
アンカーポイントの概念が理解できたら、ここからは実際にAfter Effectsのアンカーポイントを移動する手順を確認していきましょう。アンカーポイントの移動はそれほど複雑な操作ではありませんが、ちょっとしたコツを押さえておくだけで、よりイメージ通りに仕上げることができますよ。
2-1.マウスでドラッグして移動する方法
まずはツールバー上にある「アンカーポイントツール」をクリックしてください。
アンカーポイントツールをクリックしたら、オブジェクト中央に表示されているアンカーポイントに触れるようになります。この状態でマウス操作を行うことで、アンカーポイントを好きな位置へ動かすことができます。
2-2.数値入力で正確に位置を設定する方法
アンカーポイントはマウス操作で移動するだけでなく、座標位置を直接入力することで正確に位置を指定することもできます。アンカーポイントの位置を数値で指定するには、タイムラインパネル上にある「トランスフォーム」プロパティを開きます。
引用元:STUDIO US
トランスフォームプロパティにあるアンカーポイントの項目へ数値を入力することで、配置する位置を直接指定できます。数値はX座標→Y座標の順に入力してください。
2-3.ショートカットや自動配置機能を使った効率的な移動
After Effectsで新しくレイヤーを追加すると、アンカーポイントが中央からズレていることがあります。既にご紹介したようにマウス操作や数値入力によってアンカーポイントを調整することもできますが、毎回これらの操作を行うのは手間がかかってしまいますよね。
キーボードショートカットを活用すれば、一瞬でアンカーポイントをレイヤーの中心に配置することができます。WindowsとmacOSでは押下するキーが異なりますので注意しましょう。
Windows:Ctrl + Alt + Home
macOS:OPTION + ⌘ + fn + 左矢印キー
また、オプションメニューからでもアンカーポイントを自動的にレイヤーの中心へ移動させることも可能です。その場合は下記の手順で操作を行います。
引用元:デザインの学び舎
- ツールバーの「レイヤー」を選択
- 「トランスフォーム」を選択
- 「アンカーポイントをレイヤーコンテンツの中央に配置」を選択
キーボードショートカットや便利なメニューを活用すれば、細かくアンカーポイントの位置調整を行う必要がなくなって作業の時短につながります。
Part3.After Effectsアンカーポイント移動の代替ソフト5選
After Effectsはアンカーポイント移動を始めとしたさまざまな機能を搭載していますが、目的や利用頻度によっては別のソフトを使ったほうがいい場合もあるでしょう。ここでは、After Effectsの代替となるソフトをご紹介します。
3-1.Filmora(動画編集向け)
Filmoraは、動画作成の初心者からプロ級まで幅広いレベルに対応できる動画編集ソフトです。After Effectsは専門用語が多くて難しいと感じる人にとっては、ピッタリの動画編集ソフトだといえるでしょう。
▶特徴・主な機能・メリット・デメリット
Filmoraはシンプルで使いやすい操作性が特徴の動画編集ソフトであり、さまざまな機能が搭載されています。特に最新のAI技術を活用した機能が多数搭載されており、プロレベルの動画を誰でも手間をかけずに作れることから多くのユーザーから支持を得ています。
Filmoraで使える主な機能は以下のとおりです。
テロップやタイトル、BGMやエフェクトなどの素材も標準搭載されているため、動画作成のために手間をかけて素材サイトから集めてくる必要もありません。iPhoneやAndroid向けのアプリもあるため、いつでもどこでも動画編集が可能となっています。
Filmoraは幅広い習熟レベルの人に対応しているシンプルな操作性が特徴なため、映像のデジタル合成やモーショングラフィックス、VFX処理などの商業的に映像制作を行っている人だと少し細部の調整項目などに物足りなさを感じてしまうかもしれません。
個人で動画制作を楽しんでいる人や、SNSへの投稿用の動画作成などを行っている人にとっては十分満足できる性能を持つ動画編集ソフトといえるでしょう。
▶こんな人におすすめ
Filmoraはこんな人におすすめです。
- 初めて動画編集・作成を行う人
- お手軽にプロレベルの映像作成を行いたい人
- After Effectsが難解すぎて諦めてしまった人
Filmoraは無料でほとんどの機能を体験できるため、興味がある方はまずはトライアル版を触ってみてはいかがでしょうか。
3-2.DaVinci Resolve(Fusionモジュール)
引用元:DaVinci Resolve
DaVinci Resolve(ダビンチ・リゾルブ)は、動画編集から色の補正、映像にエフェクトをつける作業や音声調整まで、映像制作に必要な機能が1本に収まったソフトです。
▶特徴・主な機能・メリット・デメリット
DaVinci Resolveの最大の特徴は「色をきれいに見せる編集(カラーグレーディング)」に強みを持つ点であり、そのレベルの高さから映画作品やテレビ番組の制作などにも使われています。本格的なプロ用機能を搭載していますが、ある程度パソコン操作に慣れた人なら比較的分かりやすい編集画面になっています。
DaVinci Resolve内に含まれているモジュールの「Fusion」では、映像にエフェクトやアニメーションを加えることができ、文字を動かしたり映像の一部を切り抜いたり、アンカーポイントを使って映画のような本格的な効果をつけられます。
無料版と有料版があり、無料版でも十分に高性能ではありますが、動画編集が初めての人がDaVinci Resolveから学習を始めるのにはおすすめできません。最低限の用語や仕組みを理解しておく必要があり、中級者~上級者レベルにおすすめの編集ソフトだといえるでしょう。
▶こんな人におすすめ
DaVinci Resolveはこんな人におすすめです。
- 本格的な映像作品を作れる編集ソフトを無料で使いたい人
- 高度なカラーグレーディングも同時に行いたい人
3-3.Blender(無料・オープンソース)
引用元:Blender
Blender(ブレンダー)は、3Dモデリングやアニメーション作成、レンダリングなどを一括で行えるソフトです。2D/3Dのモーショングラフィックスの作成や合成機能も搭載しているため、After Effectsの代替ソフトとして利用できます。
▶特徴・主な機能・メリット・デメリット
Blenderの最大の特徴はオープンソースで開発されているため、すべての機能が完全無料で利用できる点です。無料ソフトでありながらも本格的な3DアニメーションやVFX制作も可能なので、「アニメーションやVFXを作ってみたいけど、いきなり高額なソフトを買うのが怖い」と考える方にピッタリのソフトといえます。
Blenderには独自コミュニティが開設されており、初心者向けのチュートリアルや機能を追加するためのプラグインなども豊富に公開されています。ただし、それでも操作に慣れていない完全初心者だと少しハードルが高い点は否めません。さまざまな編集ができるようになるためには、他サイトなどを調べて勉強してスキルを身につける必要があるでしょう。
▶こんな人におすすめ
Blenderはこんな人におすすめです。
- 3DアニメーションやVFXの制作ソフトを無料で使いたい人
- 将来的にAfter Effectsを導入する予定で、まずは編集ソフトの操作に慣れたい人
アンカーポイントもサクッと操作!Filmoraを今すぐダウンロード
3-4.Natron(オープンソースのコンポジットソフト)
引用元:Natron
Natronは、動画合成やモーショングラフィックスを作成できるコンポジットソフトです。実写映像にゲームに出てくるようなエフェクトを重ねたり、複雑なアニメーションを作成したりすることができます。
▶特徴・主な機能・メリット・デメリット
本格的な動画編集や合成が行えながら、オープンソースで使えるのがNarton最大の特徴です。Natronはデジタル合成ソフトウェアとして有名な「Nuke」に操作感が近く、Nuke向けに解説されているマニュアルや動画もそのまま参考にできるほどです。
海外のユーザーが多く、英語圏でのフォーラムやYouTubeでの英語の解説が非常に豊富なので、操作方法やトラブルが発生しても検索をすれば解決方法がすぐに出てくるのもメリットといえます。ただし、Natron自体には日本語パッチなどが提供されておらず、操作画面はすべて英語です。日本語で解説マニュアルなどもほとんどないため、英語が得意でないと使いこなすにはハードルが高いかもしれません。
▶こんな人におすすめ
Nartonはこんな人におすすめです。
- Nukeを扱ったことがあり、Nukeに近い操作感のコンポジットソフトを無料で使いたい人
- 英語が得意で海外向けのフォーラムや動画マニュアルなども問題なく理解できる人
3-5.Motion(macOS専用の動画編集ツール)
引用元:Apple
Motionは、Appleが提供しているmacOS向けのアニメーション・VFX制作ソフトです。同じくAppleが提供している「Final Cut Pro」と併用されることも多いですが、MotionではFinal Cut Proではできないデジタル合成や複雑なアニメーション、タイトル、エフェクトなどが制作できます。
▶特徴・主な機能・メリット・デメリット
Motionは、動画編集や映像制作経験がある人向けのプロ仕様の制作ソフトです。知識は必要になりますが、クオリティの高いモーショングラフィックスやエフェクトが作れることに加え、アニメーション制作とも相性が良いので、個人でも本格的な映像作品を作ることができます。
Motionは無料で使えるツールではなく、有料で購入するソフトウェアです。買い切りタイプでの購入になるため、毎月コストが発生するAfter Effectsと比較してどちらが良いのか決める必要があるでしょう。また、macOS専用のソフトなのでWindowsでは利用できないのも注意が必要です。
▶こんな人におすすめ
Motionはこんな人におすすめです。
- macOSを使っていてプロクオリティのアニメーション・VFX制作ソフトを使いたい人
- 有料であっても買い切りタイプの制作ソフトを購入したい人
3-6.代替ソフト5選比較表(一覧でチェック)
ここまでAfter Effectsの代替ソフト5種類を紹介してきました。対応OSやそれぞれの特徴などを表にまとめましたので、ソフト選びの参考にしてみてください。
ソフト名 | 価格 | 対応OS | 特徴 |
Filmora | 有料(買い切り/サブスク) | Windows / Mac / モバイル | 動画作成の初心者からプロ級まで幅広いレベルに対応できる動画編集ソフト |
DaVinci Resolve | 無料(すべての機能を使うには有料版が必要) | Windows / Mac / Linux | カラーグレーディング機能が強みの映像作成ソフト |
Blender | 無料 | Windows / Mac / Linux | 完全無料のオープンソースで使える3Dモデリング・アニメーション制作ソフト |
Natron | 無料 | Windows / Mac / Linux | 海外ユーザーの多いオープンソースで使えるコンポジットソフト |
Motion | 有料(買い切り) | Macのみ | macOS専用だがプロクオリティのアニメーション・VFX制作ソフト |
Part4.Filmoraでアンカーポイントを移動する方法
After Effectsの代替ソフトであるFilmoraでもアンカーポイントの移動が可能です。具体的に移動方法をご紹介します。
4-1.オブジェクトを選択して中心を移動
Filmoraの動画編集画面でオブジェクトを追加すると、初期状態ではオブジェクトの中心にアンカーポイントが表示されます。
このアンカーポイントにマウスカーソルを重ねると、カーソルの形が手の形に変化します。
この状態のままマウスカーソルを動かせば、アンカーポイントを好きな位置に移動することができます。
4-2.パスアニメーション時のアンカーポイント調整
パスアニメーションを作成する際、アンカーポイントを直接調整することも可能です。風景動画の上でオブジェクトが移動するアニメーションを例に解説します。
オブジェクトが移動する位置へキーフレームを設定し、キーフレームを右クリックして「ベジェ曲線」を開いて「リニア」を設定します。
タイムライン上でベジェ曲線のプロパティが表示されるようになったら、「パスカーブ」にチェックを入れてください。これでアニメーションの軌道が見えるようになります。
あとはアンカーポイントをマウスカーソルで動かすことで、パスアニメーションの軌道を変えることができます。
Part5.After EffectsとFilmoraのアンカーポイント移動操作比較
After EffectsとFilmoraはどちらもアンカーポイント移動に対応しており、基本的にはどちらのソフトでも差はありませんでした。
マウス操作で好きな位置へアンカーポイントを移動できたり、座標を指定してアンカーポイントを狙った位置に調整することも可能です。
Filmoraの場合、After Effectsよりもアンカーポイントの移動が直感的で分かりやすいという特徴があります。位置を移動させるとリアルタイムで座標位置も変わり、キーフレームなどと組み合わせれば従来よりも簡単にアニメーションを作成することができるようになっています。
After Effectsではこれらの機能をサブスク契約しないと使うことができませんが、Filmoraでは無料で利用することができます。アンカーポイントがどんなものか、どういった動きをするのか確認したい方はぜひFilmoraを使ってみてください。
Part6.FAQ|アンカーポイント移動に関するよくある質問
アンカーポイント移動に関するよくある質問を集めました。アンカーポイント移動について悩むことがあれば、参考にしてみてください。
Q1.正確に指定位置へアンカーポイントを移動する方法は?
正確に指定位置へアンカーポイントを移動させたい場合は、座標を直接入力するのがおすすめです。Filmoraでは1ピクセル単位でアンカーポイントの配置位置を指定できるので、ズレることがありません。
アンカーポイントの位置を微調整したい場合は、まずマウスカーソルで大まかな位置へ移動させ、あとは座標位置の数値を少しずつ変えながら確認すると調整しやすいです。
Q2.複数レイヤーのアンカーポイントをまとめて移動するには?
After Effectsで複数レイヤーのアンカーポイントをまとめて移動するには、ヌルオブジェクトを配置してレイヤーごとのアンカーポイントを親子関係にする方法がもっとも手軽に設定できます。
他の方法としては、アンカーポイントツールで直接調整したり、ショートカットキーを使用したりして、選択したレイヤー全体のアンカーポイントを一括で移動させるといった方法もあります。
Q3.FilmoraでもAEのような精密な移動は可能ですか?
はい、可能です。
Filmoraで新しく追加されたアンカーポイントは、After Effectsのように精密な移動にも対応しています。マウスカーソルでの移動はもちろん、座標位置を直接数値で入力しての移動も可能です。
特定のオブジェクトだけを大きくしたり回転させたりなど、従来のFilmoraでは少し手間のかかっていた編集作業が、アンカーポイントを使うことによって楽に作成できるようになりました。
まとめ:Filmoraでアンカーポイントを簡単に設定!
After Effectsで使えるアンカーポイントは、オブジェクトごとの回転や拡大・縮小、アニメーションの動きなどをコントロールできる重要な要素です。アンカーポイントの位置を少し変えるだけで、映像の印象や仕上がりが大きく変わるので、アンカーポイントの概念や使い方は覚えておいて損がありません。
アンカーポイントについてはAfter Effectsのような本格的な映像編集ソフトで学ぶのもいいですが、After Effectsは初心者向けというよりも中級者~上級者レベル向けのソフトであり、初心者の方は操作方法や専門用語にハードルを感じる可能性が高いでしょう。そんな初心者の方、そして上級者までの幅広いレベルの方におすすめできるのがFilmoraです。
Filmoraは直感的にアンカーポイントを移動・調整できるシンプルな操作性を備えながら、AIを活用した多彩な編集機能やエフェクトも標準搭載。After Effectsと同等レベルの精密な調整も可能なので「難しい操作は避けたいけれど、仕上がりにはこだわりたい」といった方に最適なソフトといえます。
アンカーポイントがどんなものか知りたい方は、まずは気軽にFilmoraを試してみてください。
役に立ちましたか?コメントしましょう!